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ピカソの隣人 ゴングール賞審査会のビストロへ行く

(名門ビストロ、ドゥルーアン)

東京から某出版社の担当編集、Sさんが陣中見舞いにきてくれた。
長年フランス語を勉強しているSさん、パリは二度目。どのくらいネイティブにフランス語が通用するか、さしずめ力だめしの来仏。パリ滞在1か月を経過して、いまだに新しく覚えたフランス語は「ボーゴス」(イケメン)、「テレ・マタン」(朝のテレビ。日本でいうところの「おはよう日本」みたいな番組のタイトル)、「ロマン」(小説)の3語のみという、情けない状況の私を救ってくれるに違いない。

編集者がやってくる、ということで、こんちゃんが気をきかせてランチの予約をしてくれた。
その場所こそは、フランス文壇最高峰の文学賞「ゴングール賞」の審査会が行われるというビストロ「ドルアン」。ああ、ありがたや。

ゴングール賞は1903年創設、アンドレ・マルローやマルグリット・デュラスなど、まさしくキラ星のごとき文壇の巨匠たちを次々と世に送り出した名門賞。アカデミーと呼ばれる10人の審査員が、この「ドルーアン」の個室に集い審査をする。ちなみに賞金は10ユーロ(1300円)。受賞して得られる名誉と販売効果を考えれば、賞金なんて二の次、ということだ。

「ドルーアン」店内はシックな内装で、粋なよそおいのムッシュたちがワーキングランチをして混雑している。ううーむ、どうもすべての人たちが文芸関係者に見えてしまうッ。あの人は作家か、この人は編集者か、出版の営業さんか・・・・そんなわきゃない、と思いつつ、ゴングールマジックに完全にはまった私は、思わず深呼吸を繰り返す。せめてゴングール賞のエキスだけでも吸収せねば・・・・・スーハー、スーハー。


(ランチのメイン、美味。)

お料理は一ツ星だけあって、こってりとフレンチビストロっぽく、美味。
可憐な女子のSさん、その日の朝4時半パリ着で、時差ボケでフラフラのはずなのに、どっかんとラム肉に挑戦、ぺろりと平らげる。編集者たるもの、このくらい健啖でなくてはならぬ。


(ランチのデザート、ムースとアイスクリーム。)

私があんまり深呼吸を繰り返すからか、こんちゃんがまたまた気をきかせて、マネージャーのムッシュに「ゴングール賞の審査会場を見せていただけますか」と尋ねてくれる。ムッシュはにこっと笑って「Oui」。すかさずSさんが得意のフランス語で「こちらのかたも作家さんです」と言い添えてくれる。ムッシュはまたにっこりとして、「Oh,Oui」。私は調子に乗って、「ゴングールの女神さまにあやかりたいです」と日本語で言って、こんちゃんに訳してもらおうと思ったが、「『あやかりたい』なんてフランス語、ないよ」ときっぱり言われてしまった・・・・・・。


(このテーブルでゴングール賞が・・・)

審査会の行われる部屋は一般の人でも予約をすればそこで食事もできるそうだ。各椅子には、アカデミー会員の方々の名前が金のプレートに刻印されてついている。ああ、やっぱりあやかりたい・・・・・・。

今日から私のあらたな目標がひとつ。そうだ、いつかはゴングール!
・・・・・・ってフランス文学じゃなきゃだめなんだそうですが。
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