2010.04.15 Thursday
ピカソの隣人より 4月の新刊のお知らせ

(新作 星がひとつほしいとの祈り)
本日4月15日、新刊が書店に並びました。
タイトルは「星がひとつほしいとの祈り」。
きなり色のシンプルな表紙に、文字通り、金色の星がひとつキラリ。
さまざまな世代の女性たちの、試練と旅だちのときを描いた中篇集です。
読み返してみると、私の旅のファイルのようにもなっている。
年がら年じゅう旅がらすをやっているのは周知の事実なのだが(フーテンのマハの異名もアリ)、旅先のふとした出会いや偶然の出来事が、小説の種になることが多い。だからひとつの旅が終わると、また別の小説の種を求めて、次の旅へと出かけることになる。いったいいつ東京にいて、いつ仕事をしているのか??と周囲からはしきりに不思議がられているのだが。
この小説集は、そうやって方々を遍歴して集めてきた旅のきれぎれを、ドラマに仕立て上げたものだ。
「椿姫」という一編だけは東京が舞台だが、それ以外は、大分県日田市(夜明けまで)、愛媛県松山市(星がひとつほしいとの祈り)、新潟県佐渡市(斉唱)、秋田県男鹿市(寄り道)、高知県四万十市(沈下橋)…などなど、狙ったわけではないが、ほどよく拡散して地方に舞台を求めている。
「夜明けまで」という物語などは、湯布院から博多へ向かう特急に乗っていて偶然通過した駅の看板をわずか2秒、目にした瞬間に、またたくまに着想した。その駅の名前が「夜明」だったから。
表題作の「星がひとつほしいとの祈り」は、もともと私が中学生のころ大好きだったフランスの詩人、フランシス・ジャムの詩集のタイトルで、ずっと心にしみこんでいるものだった。内容は、松山の道後温泉に旅したときに出会った老マッサージ師をモデルにして書いたものである。こんなふうに、少女時代に印象に残っていたタイトルが、幾年つきを経て、自作の小説に結びつく不思議さを思わずにはいられない。
この本を作るにあたっては、パリ滞在時に遠隔操作で、実業之日本社・担当編集者のSさんと頻繁にやりとりをした。
前作「インディペンデンス・デイ」もそうだったが、自分が日本を不在にしているあいだに、2冊の本の出版準備をしなければならなかった。しかしSさんもまた、日本=フランスの距離も時差もものともせず、実にてきぱきとフォローしてくださり、見事に仕上げてくださった。Sさん、ほんとうにありがとうございます!
旅すれば、それはやがて物語になる。
今回のパリ滞在も、その長さを考えれば、かなり壮大な物語になるはずだ。って長さと内容はべつだん比例しないのだが。
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